駅舎と大谷石

ときわ台駅 北口駅舎

ときわ台駅北口の駅舎は、東上線の周辺の他の駅舎と比べるとディテールは少し趣が異なります。

青色のスパニッシュ瓦で覆われた穏やかな傾斜の三角屋根、3つ並んだ縦長の窓、独特の凹凸がおしゃれな印象の大谷石張りの壁面と柱台。また破風板(はふいた)と呼ばれる屋根先のすぐ下の部分には、波線の独特なレリーフが窺えます。

これらは1935年(昭和10年)に武蔵常盤駅として開業してから、時代を経ても継承されてきた特徴です。国立や原宿の駅舎が取り壊しが進む中、2018年のリニューアルでは東武鉄道の英断により、開業当時の外見を維持する、木造での修繕が行われました。

共通点の多い南宇都宮駅舎

近年、東武宇都宮線の南宇都宮駅舎との共通点について注目されています。三角屋根付きの木造構造、3つ並んだ縦長窓、大谷石張り、破風板の波線のレリーフは現在も両者に残る特徴で、屋根瓦の色さえ違うものの外見がよく似ている様子がわかります。

南宇都宮駅の前身である野球場前駅は1932年(昭和7年)、武蔵常盤駅よりも3年早く東武宇都宮線の開通時に開業。基礎と壁面に大谷石が使われていて、当時の産地である宇都宮と東武鉄道における大谷石の意味合いの強さが浮かび上がります。

なぜこの2つの駅が似た特徴の設計になっているのかはわかっていません。いずれも東武社内で設計されたものがベースとなっていると考えられますが、公開されている資料からは詳細が特定できていないのが実情です。

大谷石と常盤台

駅舎以外にも常盤台地区の随所に大谷石を見つけることができます。駅のホーム下、住宅の生垣や塀のほか、南常盤台には石蔵も点在しています。会では2017年に地域の大谷石利用状況を一斉調査しましたが、街を歩くだけで現在も多数確認できました。

大谷石は関東では大正から昭和初期の建材として加工のしやすさから重用され、フランク・ロイド・ライトの旧帝国ホテル本館や自由学園明日館などにも使われてきました。経年変化しやすいのも特徴で変わりゆく風合いを楽しめます。反面では酸性雨に弱く、今後の保存の観点ではメンテナンスが課題になっていくる可能性があります。

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